若手騎手6人が通信機器使用で騎乗停止処分

2023年5月8日

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新人騎手6人がスマートフォンの使用による騎乗停止処分
これに関連する問題点を考えてみたいと思う。

女性騎手を応援している当ブログではあり、
若手騎手の認識の甘さ、主催者の管理体制の杜撰さの問題、
現代のスマートフォンの用途の多様さを認識してはいるが、
今回の事案にて擁護する気は一切ないし、
情状酌量の余地もまるでないと思っていることは予め申し上げておく。

騎手はレース開催の前日から調整ルームと呼ばれる施設に入室し、
通信機器は基本持ち込むことはできず、外部との通信、接触を禁じられる。
また開催中はジョッキールーム/騎手控室を利用し、いずれにしても
通信機器の利用はご法度となる。
これは情報の漏洩を防ぎ、公正確保のためとされている。

今回の事案では4/23に騎手控室、認定調整ルーム(JRAが認めた自宅や宿泊施設等)
で騎手同士の通話、スマートフォンでのインターネット通信が判明した。
中央競馬に所属する女性騎手6人中5人が今回の違反に該当し、
女性騎手控室での利用があったとのことで、
男性職員が入室しにくい状況を利用した悪質な事例であると言える。

日本中央競馬会競馬施行規程147条19号に抵触するとのことで、
「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」に認定された。

ではなぜ騎手は外部との連絡を一切遮断しなければならないのか。
これはよく言われる「公正確保」という競馬開催の最重要業務が根底にある。
簡単に言えばインチキやズルいのはダメということで、
競馬については、スポーツ面からみてドーピングや、ルール違反をしてはいけないという点と、
ギャンブル面からみて、不正な金銭のやり取り、八百長を行ってはいけないという
二つの意味がある。

前者においては、前後検量や馬体検査等にてチェックが常に行われているが、
後者においては、これを完全に取り締まるのは正直難しい。
特に八百長行為は不正中の不正であり、これは絶対にあってはならない。

八百長とは真剣勝負に見せかけ、前もって取り決めておいた結果にすることであるが、
多頭数の競馬においては、全馬を意図的な結果にすることはなかなかに難しく、
(少頭数のレースで複数人の関与があれば、不可能ではないが)
金銭関与する上位馬の着順を意図的に変更することが殆どである。

そもそも中央競馬最大の八百長事件(山岡事件)が原因で、
調整ルーム等のルールが出来た理由であり、
外部への通信、接触禁止は、八百長防止と言っても過言ではない。

騎手は最もレースを支配/制御できる可能性のある競馬関係者である。
意図した騎乗内容が、そうでないかに限らず、
位置取りや仕掛けタイミングなどの騎手の本位は伝わりにくいだろうし、騎乗技術の巧拙もある。
上位人気馬の敗退はよくあることで、
いぶかしく思いながら見れば、全て不正にも見えなくもない。
が故に、八百長疑惑を向けられるのは常に騎手であるということである。

八百長自体言語同断ではあるが、もっとも大事なことは
八百長を”疑われてはならない”ということだろう。

ギャンブルは一般的に好印象とは思われない。
お上の息がかかっている公営競技ですら、あまりいい印象を持たない者は少なくない。
賭博が法律によって禁止されており、反社会的勢力との結び付きを印象付けるものであり、
さらにそれに対して違反行為、イカサマ行為を行うことは二重三重に悪い印象を植え付ける。
クリーンなスポーツ、公正競馬をお題目に掲げる競馬主催者において、
八百長は最も忌み嫌う行為である。
騎手の通信遮断はそのためなのだろう。

本当に制限をするのであれば、騎手同士の会話すら認めてはならないはずだが、
それはあまりにも窮屈すぎる。
だからこそ、騎手には不正行為の温床になる可能性があると認識して、
ルールを厳守してもらいたい。

一方で情報漏洩防止という点で考えると、こちらはあまり重きは置かれていないようだ。
一部の人たちだけが得られる有益な情報が流れ、不正な金銭のやり取りに繋がる可能性があるが、
調教師や厩務員には、通信禁止の規定はない。
当然馬券購入自体は禁じられてはいるが、馬券の購入ができる馬主など一部関係者のみだけが、
有益な情報を得て、なおかつ勝ち馬投票券の払戻金のプールを一様に扱うのは公正確保といえるのだろうか。

また騎乗停止処分についても考えなければならない。
今回はキャリアの浅い騎手がルール自体は認識していたが、
騎手同士の通話や自分の騎乗馬の人気や過去のレース映像といった情報収集に
使用していたことが判明したため、
開催10日間の騎乗停止という処分となったわけだが、

JRAは6人のスマートフォンの通信履歴を調べ、
外部との通信や通話は確認されなかったとしているが、
いつから不適切な使用が行われていたかは、
正確な日付が判明しないため発表されなかったということで、
調査がザルであることは言うまでもなく、これでは公正確保とは言い難い。
今回の事案が判明した直後の今週の開催には騎乗可能とのことで、
これは今週は公正確保ができないままだが競馬は開催すると発表しているのと同義である。

また4月23日の使用が判明しているのであれば、
当該日のレース結果はすべて失格とすべきであろう。

騎乗停止処分は2020年からの改悪で翌週からの処分とのことで、
「処分の統一的運用や不服申し立ての審理・審査の確保、
並びに国際的なルールの調和などの観点」によるものとなっているが、
「不服申し立ての審理・審査の確保」としているのであれば、
まだ騎乗停止処分は発表すべきでないし、
正当な理由があり不服申し立てが通るのであれば、騎乗停止処分には至らないはず。、
不服申し立てがなければ、即日処分で何の問題もない。

また「国際的なルールの調和」とするのであれば、日本独自の調整ルームは廃止すべきであり、
むしろ日本の制度が良いのならば、
世界に日本の良いルールを提案して調和させていくべきである。
これはやったもん勝ちの降着失格削減ルールも同様で、
抑止力のないルールは全く意味をなさない。

メディアをどう使おうが構わないし、コメントをどう公表するか、
インスタで謝罪するのも別にいいだろう。
競馬村ということもあり、血縁者が多い世界では、
親や親族が謝罪を行うことも多々あることだろうと思うが、
騎手という職にきちんと就いている成年なのだから、
若いとはいえ、それぞれが対応すればいいことで、
親が出てくる必要はまるでないと感じる。
特に親の髪の毛は一切関係ないのではないと思う。

参考:日本中央競馬会競馬施行規程
https://company.jra.jp/0000/law/law07/07.pdf
(トップページ以外リンク禁止のため)

競馬コラム

Posted by 函館孫作